<追記>
2016年5月10日に、状況の変化を受けてブログを更新しました。よろしければこちらもご覧ください。
<追記終>
こんなニュースが世間を騒がせています。ご覧になった方も多いのではないでしょうか。

 

fumikiri
 

 

認知症の徘徊で鉄道事故 91歳の妻に約360万円の賠償命令 名古屋高裁

 

2007年に徘徊症状がある認知症の男性(当時91)が電車にはねられ死亡した事故をめぐり、JR東海が男性の遺族に損害賠償を求めていた訴訟です。名古屋高裁の判決は法上の監督義務があったと認定しました。外出を把握できる出入り口のセンサーの電源を切っていたことから、「徘徊の可能性がある男性への監督が十分でなかった」と判断し、妻(91)に約360万円の支払いを命じた、というものです。

 

この判決は様々な問題をはらんでいます。
まずこの事件だけでなく、今後認知症の方が他の方になんらかの損害を与える事件は必ず起きていくであろうということ。
今後同じような裁判が多く行われることが予想されます。

 

この判決の方向性が、日本国民の望むものなのか。
つまり認知症の患者に対する監督責任を同居する家族に求めること。
それがあるべき姿なのか。

 

この判決が一般化すると、在宅で認知症の方を見守ることには大変なリスクを伴うことになります。
結果、身を守るためには施設への移転を早々に進めることになります。
国は「地域包括ケア」という概念を打ち出し極力自宅での生活を支援していますから、そこに逆行することになります。
自宅生活の推奨の背景はパンク寸前の財政問題ですから、認知症を早くから施設に入れるという流れは財政破綻に直結します。

 

なによりも認知症のご家族が今負っている精神的、経済的、肉体的負担に、更に重い責任を負わせることになる。
今でも大変ご苦労されている方々を見ていると、これでよいのかという気持ちは拭えません。

 

おそらく、営利企業としてのJRが相手によって損賠倍賞を求める基準を変えることはできないでしょうし、
責任無能力者について家族が損賠賠償責任を負うという考えに従えば、事実認定次第とはいえこの判決が日本の民法の主旨から外れるものではないのでしょう。
この状況を変えるには立法により法律自体を作ることが必要だろうと思われます。

 

そうした活動も今後必要だと思いますが、今認知症患者を抱えるご家族にはそんな時間的猶予はありません。
自らを自らの手で守る必要があります。

 

そのために、認知症の方が損賠倍賞を請求された時のための損賠賠償責任保険があります。

 

保険における、認知症の方が起こす損害賠償についての考え方は以下となっています。

 

そもそも重度の認知症患者は、「責任無能力者」という分類を民法上され、賠償責任を負いません
ですので、認知症の方本人を対象にした保険そのものでは意味がない事になります。

 

- 一方、責任無能力者が何らかの事故を起こした場合、患者の監督義務者(通常は家族や介護施設等の職員など)が賠償責任を負います

 

- 上記事故の損害賠償をカバーするには監督義務者を被保険者とする賠償責任保険に加入しておく必要があります。また、責任無能力者が事故を起こした時に監督義務者に発生する損害賠償も保険の対象としている保険を選ぶ必要があります。

 

つまり、まずご本人かご家族が損害賠償保険に入ること。その際にただ保険に入れば安心ということではありません。責任無能力者が事故により他人に損害を与えたことにより、親権者等が負担した損害賠償責任について補償の対象にしている保険を選ぶことが必要になります。

 

現在、認知症のご家族を対象にしていることを謳う保険は出ていないようです(謳えばいいのに!)。

 

Web上で探したところ、昨年規約改定を行うことによってそうした方を対象にしていることが明記された保険が見つかりました。
他の保険については個別にご確認されることを推奨いたします。

 

ただし、事故の内容によっては支払いの対象外になる可能性や、認知症の方が責任無能力者に該当するか不明確な部分があります。また旅行中の事故のみが支払対象となっているケースも見られますので、最終的には各保険会社への問い合わせが必要です。

 

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- AIU保険
個人賠償責任補償特約(長期契約用) 2013年10月改定

 

- ジェイアイ保険
国内旅行保険(特約・個人賠償責任)
* ⑥被保険者の心神喪失による事故は支払い対象外の部分がグレーです。

 

- AU損保
傷害保険 「個人賠償責任補償特約」 改定のお知らせ  2012年3月

 

- 損保ジャパン
個人用自動車総合保険『ONE-Step』 補償内容・範囲
* 電車を遅延させた場合も補償対象になっています

 

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必ずしも網羅的・正確性を担保できるものではありませんが、少しでも多くの方にお役にたてればと思いますし、
もし当ブログをご覧になった方でより詳しい情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら是非ご連絡いただけますと幸いです。

 

本来は国や地域で認知症でも暮らしやすい仕組みを作っていくことが何より重要ですが、
まずはこうした形で自己防衛をしていくことが求められるのが実情です。

 

こころみは、そうした自分で身を守らなければならない方の、精神面も含めたサポートができるよう、今後も努力してまいります。
<追記>
2016年5月10日に、状況の変化を受けてブログを更新しました。よろしければこちらもご覧ください。