CANDyとは

  • HOME »
  • CANDyとは

CANDyの由来~ニッセイ財団の支援を受けて~

従来から、知識と経験を兼ね備えた専門職は日常の会話の中で認知症の人の障害された脳の部位や障害の程度を推測し、治療や支援のプランに役立てるという行為を自然と行ってきました。しかしながら、こうした評価の妥当性について、客観的に測定を試みた研究は世界的にみてもありませんでした。本研究は、専門家が日々の臨床の中で蓄積し、身に着けていく経験知を、経験の浅い専門職でも評価可能な形にすることを目指して開発されました。
Candという語幹は英語のCandidateの語源であり、「候補者」という意味があります。日常会話式認知機能評価CANDyという名称には、認知症の疑われる人(候補者)を早期に発見し、適切な治療や支援につなげたいという意味が込められています。

CANDyとは何か

CANDyは認知症の人に見られる15個の会話の特徴について、自由な会話の中でその出現頻度を評価します。これらの特徴は、医師、臨床心理士、言語聴覚士、介護福祉士などの専門職種それぞれの臨床経験に加え、実際に現場に勤める専門職種を対象とした3つの調査結果を基に抽出されました。CANDyは30点満点の検査ですが、6点以上を認知症の疑いありとした場合、アルツハイマー型認知症の高齢者と健常高齢者を感度86.2%、特異度94.5%という高い精度で判定できることが示されています。
CANDyには、既存の認知機能検査にはない多くの利点があると考えられます。例えば、以下のような利点が挙げられます。

〇日常会話の中で評価でき、検査者、被検査者双方にとって抵抗感が少ない
従来の認知機能検査の多くは、正解、不正解のあるテストによって能力を評価するものです。こうした検査は客観的な評価が可能な反面、検査を受ける高齢者にとっては能力を評価されることになるため、苦痛を感じることがあります。苦痛を感じることにより検査者との関係性が悪化した場合、その後の治療や支援にも影響するため、検査者側も苦痛を感じることがあります。ですがCANDyは日常会話の中で評価するため、検査を受けている実感がないため、こうした問題が生じません。

〇よく知った相手であれば、対面しなくてもこれまでの印象で評価が可能
CANDyは日常会話に現れる会話の特徴を評価するため、よく知った相手であればこれまでの印象を基に評価することが可能です。私たちが開発過程で行った精神科・神経内科の医師と臨床心理士を対象に行った調査の結果では、その場で会話をして評価した場合、印象で評価した場合いずれにおいても認知機能の測定に有用であることが示されています。例えば、かかりつけ医師が患者さんの認知症を疑った場合、診察の合間を使って今までの診察時の会話を基に評価するといった使い方も可能です。

〇正解、不正解がないため学習効果が生じない
正解、不正解がある認知機能検査の場合、定期的に実施することにより課題を覚えてしまい、実際の能力よりも高い得点を取ってしまうことがよく起こります。こうした現象は学習効果として知られており、能力を評価する検査では避けることが難しいとされています。一方、CANDyは能力を評価する検査ではないため、こうした問題が起こることはありません。

〇評価のための会話により、交流の促進や生活情報の把握も期待できる
CANDyの評価をするためには、会話をする必要があります。そのため、評価のために会話することによって、交流が自然と促進されます。また、会話の内容は自由で良いため、日々どのように生活をしていて、どのようなことに困っているのかといった、生活情報の把握にも活用できます。私たちの研究でも、介護士が施設の利用者と会話をして評価した場合、今まで気づいていなかった本人の肯定的な側面に気づく可能性があることが示唆されています。また、このような使い方は、例えば介護保険サービスの申請時の評価や、ケアマネージャーによる定期訪問時の評価などにも活用が期待されます。

〇会話の特徴の出現頻度を評価するため、客観的な測定が可能
CANDyは基本的には会話の特徴の出現頻度を評価するものですので、客観的な測定が可能です。ただし、より評価の精度を上げるためには、会話の特徴の質的な側面にも着目することが大切です。これは、従来の多くの認知機能検査による評価では、得点だけでなく検査時の様子も含めた総合的な評価が重要であるということと共通しています。

CANDyを構成する15項目

CANDyは下記にある15項目で構成され、それぞれの項目がどのような神経認知領域を測定しているのかということも検討されています。認知症の臨床に携わる精神科や神経内科の医師や心理職23名に各項目が反映する神経認知領域を尋ねた結果、少なくとも78.3%の専門職が、CANDyの各項目が以下の神経認知領域を反映していると評価しました。

PAGETOP
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.